販売や小売りの業界って、どんな感じなんだろう?
就職先に、転職先に、と考えていて、仕事内容に興味を持つ方もいるかもしれません。
なにげに、販売や小売業は、離職率が高くて、ブラック企業が多い、なんて話も聞きます。
私はこの業界に10年以上いますので、わかることをお伝えしてみようと思います。
販売・小売りはどんな業界?
特別な資格は不要
基本的に小売り業界に入るのに、特別な資格は必要ありません。
あっても、運転免許くらいでしょうか?
ただ、業界によっては、入社後に資格を取らさせる場合が多いです。
ドラックストアでは登録販売者、
ホームセンターではフォークリフト・DAYアドバイザー・自転車技師・自転車整備士、
家電量販店では家電アドバイザーなどですね。
割と販売には必須なので、必ず受けるようプレッシャーを掛けてくることも・・・。
資格を持っていないと、昇格は難しいところがあります。
働く時間帯は不規則 基本土日は出勤
スーパーやドラッグストアは、かなり長い時間営業してます。
そのため、就業時間は早番・中番・遅番と分けられていて、交代制です。けっこう不規則です。
早番⇒遅番
ならまだしも、
遅番⇒早番
という流れもあり得ます。
体調を崩す方もぶっちゃけ、いますね。
土曜、日曜日、祝日は基本的に仕事ですが、実は休めないこともないんですよ。
小売りは確かに、土日が忙しいですが、それでも社員の公休は回さなければいけないので、その都合上、土日が休みになることがあります。
また、シフトはある程度調整が効くので用事がある場合は、申請すれば取れる場合も多いです。
残業は発生しやすい
残業は発生しやすいです。
小売りは、店舗の大きさや来客数で忙しさが変動しますが「その日のうちにやっておかなければいけない仕事」が多数、存在します。
たとえば、商品の発注をするのは水曜日、と決められていたり、とか。
翌日のチラシ商品の売り場をつくる、とかですね。
いくら残業ゼロを謡っていても、仕事が終わっていないのに
「じゃあ、時間なのでお先にー」
というのは、あまり許されません。
発注しないと、商品入ってこないよーどうするのー? という感じです。
また、期限内に仕上げなければいけない仕事もあるので、担当の作業スピードによっては、どんどん仕事が溜まっていきます。
あと繁忙期とされる、G・W、お盆、年末は超忙しいので残業は必須ですね。
サービス残業は存在する
つづきです。
その日のうちに終わらせない仕事は、一日の勤務時間内に終わらせなければいけない仕事、でもあります。
すくなくとも、上司や会社はそんな認識です。
にもかかわらず、その仕事を残業してやっているとどうなるか?
なんか、圧というか、プレッシャーのようなものを感じます。
仕事が終わらなかったのは自分のせい・・・。
そんなのに残業代をもらうなんて・・・。
まじめな人ほど、そんな思考回路になります。
また、周りがサービス残業をしていると、自分もやらなければいけない雰囲気になりますよね。
助け合って仕事を終わらせればいい? 綺麗ごとじゃ店は回んねーんだよ( ゚д゚)
サービス残業撲滅! みたいな機運はありますが、正直、なくなりません。
タイムカード切ってから残業、上司も黙認、みたいな感じですね。
給料は安いけど・・・
給料はですね、やはり高いとは言えません。まあ、極端に低いわけでもないですけど。
小売業の年収はだいたい300万~400万くらいが平均です。
ただ、その水準に行くには、店長やマネージャーなどのかなり上の役職に行く必要があります。
店舗の担当者のまま、年収が上がっていくことは無いです。
役職が上がれば、長い時間拘束されますし、給料と仕事は見合わないような印象です。
公休の数は普通 有給は取りづらい
土日は基本休めませんが、公休の数は割と普通です。
たとえばホームセンターの最大手「カインズ」の年間休日数は117日です。
これは業界の方でもかなり多い方で、基本的には110日前後で、月に9回休みがあるイメージです。
2日行って休み、3日行って休み。月に一回、連休という感じでしょうか。
ただ、有給は正直、取りづらいです。
小売業では、限りある従業員で店を正常に回さなければいけません。
みんなが有休を取りまくっていたら、店が回りません。
そこのところを理解して、空気を読む、暗黙の了解がある、という感じなのが普通ですね。
ただ、現在では年間で有給を5日間取らせることが義務付けられていて、違反すると罰金が科せられるので取りやすい環境にはなっているかも。
離職率はやはり高い
小売りの離職率は割と高いと言われていて、新入社員の30%は、3年のうちに辞める、と言われています。
これはですね、正直、実感がありません。
まあ、辞める人はやめますが、新入社員に限った話ではないです。
社員の何パーセントが辞めているかはわかりませんが、小売りは、人手不足による多忙極まる勤務、接客のストレス、全国転勤など、長く勤めれば、その身にのしかかってくる問題があります。
それは、出世をするほどに大きくなります。
そのため、将来性に希望を持てない社員が年次とともに増えていきます。
新入社員は、仕事のことを何も知らないので、むしろ辞めずらい傾向です。
仕事内容に不満を持って辞める方も多いです。
辞め時を失った40~50代の社員が多く、5~10年間働いた中堅がぼろぼろと抜け落ちていくイメージです。
全国転勤がある
小売業の大きなデメリットとして、転勤があります。
店舗がどの地方にあるかによりますが、全国展開している場合だと、どこなりと飛ばされます。
家賃はいくらは負担してくれるとはいえ、いくらかは自分で支払わなければいけないので、結局は給料から引かれているのと変わりません。
全国を飛び回るのも、若いうちはいいかもしれないけど、年を取ってくるとキツいです。結婚もしずらいですしね。
ただ、最近ではそういった事情を踏まえてか、「転勤を制限した社員」という業態を採用している企業もあります。
その分、給料は安くなりますし、昇格に影響を与えることもありますが、働きやすくなっているとは言えるかも。
小売りはブラック企業が多い?
販売や小売りって、ブラック企業が多そうじゃない? というイメージを持つ方もいるかもしれません。
体感として、業界そのものがブラックとは言えません。
ただ、ブラック企業というのは「会社」や「上司」によって引き起こされることが多いです。
そういうことを考えると、小売りは、ブラックになりやすい環境ではあると思います。
競争が激しく、利益率の少ない業界のため、業績が悪いと、真っ先に削られるのが人件費です。ボーナスが大幅にダウンするなんて珍しくありません。
売り上げが上がらないと、会社はとんでもない指示を出すこともありますし、上司はプレッシャーにやられてどんどんおかしくなります。
暗に残業を付けずに働け、と言ったり、あとから削られていたり、ですね。
最近ではパワハラや残業未払いに対する世間の目も厳しいので、かなり鳴りを潜めている感があります。
実際調べるには、クチコミサイトで見てみること。
法令順守の気持ちが高いと、ブラックである可能性は低いです。
私も務めている自社を見てみますが、意外とリアルな声がかかれています。
販売・小売りで働きたい方へ
ざっと並べてみますと、まあ、魅力的な業界とは言えません(笑)
デメリットばかりです。喜んで入ろう、という業界ではないかもしれません。
メリットがないとは言えないんですが、それはまた別の記事でも。
アドバイスとしては、やはり大手は強い、ということです。
大手は36協定や法令順守の意識などが高いです。なぜならバレた時のリスクが大きいからですね。
たまに大企業が不正を行ってニュースになったりしてますが、そういったものは避けたいのが事実です。
国の監査の目も、大勢の従業員に影響を与える大手に向いていることが多いです。
販売や小売りは魅力的な業界ではないかもしれませんが、商品の開発やマーケティングといった部署に行けば、それなりのやりがいを感じることがあるかもしれません。
あなたもきっと使ったことがあるユニクロの服や、ニトリの家具、無印の文房具なども、小売業界の商品です。